今日も無事にただいま

「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

法規制はいつも後追いだから、先に手を打とう

      2017/04/21

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先日、BSでニューシネマパラダイスが放映されていたので、もう数え切れない度目に見ました。
やはり、最後のキスシーンのフラッシュは泣けてきます。その映像を見ながら、頭後ろで手を組み、背もたれにかかるシーンが一番好きです。

ニューシネマパラダイスには、数々の名セリフもあります。
私はアルフレードがトトを送り出す時のこの台詞が好きです。

「もうお前とは話したくない。お前のうわさを聞きたい。」


しびれてしまいます。

そしてアルフレードの台詞でこんなのがあります。

「進歩は常に遅過ぎる」


これは燃えにくいフィルムが導入されたときの台詞です。もしこのフィルムがいち早く使われていたら、映画館の火事もなかったかもしれません。
もし火事がなかったならば、アルフレードやトトの人生も変わったかもしれない。

しかし全ては過ぎたこと。過去を変えることは、誰にもできません。

時代はニーズを満たすことで発展していきます。
この世にあるもの全ては、それを必要とする人のニーズを満たすものです。

ニーズには、労働安全衛生の分野も含みます。

安全衛生に関するニーズは、事故に合わないこと、命を落とさないこと、健康を損なわないことです。そのために、法改正され、機械の安全装置や保護具が改良され、作業方法が開発されていきました。

そのため昔に比べ、格段に労災事故数、死亡者数は減ってきたので、成果を上げてきています。

しかしこれらの進歩と成果は、様々な犠牲の上に成り立ってきているものです。
数々の犠牲があり、少しでも犠牲を減らすために法改正され、製品が開発されてきたのです。

もし今の装備などが10年、20年前にあったら。
もしかすると、失われなかった命も少なくないかもしれません。

そういう意味では、アルフレードが言うように、「進歩は常に遅過ぎる」のです。

法改正も、数々の犠牲があり、それを防ぐために定めされてきました。
つまり、安衛法等の1条、1条には多くの血の代償といえます。

安衛法以外でも、同様です。
とても顕著なのが道交法ではないでしょうか。特に飲酒運転について。

この10年で飲酒運転は、相当に厳罰化しました。
なぜ厳罰化したかというと、東名高速飲酒運転事故などのように、深刻な事故がクローズアップされ、世論を動かしたからです。

法律は堅苦しい書かれ方をしていますが、その根底は割りと感情的な動機によって動かされているものです。

法律の中には、もはや古く適用されないものも少なくありません。
安衛法も例外ではありませんが、犠牲者の後を追いかけつつも、改正されていっています。

この状況は、日本だけではないようです。アメリカの労働安全衛生も同じなようです。

Workplace Safety Regulations are Too Little, Too Late (リンク切れ)

これはアメリカで高所作業で墜落防止対策を必要とする高さ基準が引き下げられてというものです。

今までは、10フィート(約3メートル)以上で対策が必要とされていたのが、今後は6フィート(約1.8メートル)を基準とするというものです。法改正は昨年の12月からの改正のようです。

日本では高所作業で作業床を必要とするのは、2メートル以上の時です。
そう考えると、アメリカの以前の基準はかなり緩かったと思われます。

法改正により1.2メートル引き下げされました。ここに至るまで、この1.2メートルの差のために命を落とした人も少なくなかったのでしょう。

日本もアメリカも多くの犠牲があり、必要性が認められて、ようやく法律が検討されます。
もっと早く改正されていれば、助かったのにと思う人も多いはず。

そういう意味では、安全基準の規定は不十分で、遅すぎるのかもしれません。

とはいうものの、フォローするわけではないですが、厚生労働省の方たちも思いは同じはずです。
事故を1つでもなくしていきたいし、健康被害も減らしたいと思っているはずです。

しかし事故のパターンは千差万別で、把握しきれません。
1つを対処すれば、また別の問題がという繰り返しです。
事故を防げなかったことで、歯噛みされていることも多いと思います。
そんな中で精一杯やってくださっています。

それに、法律で定めても守られず事故が起こることも少なくありません。
法律以前に、私たち自身にも出来ることもあるのです。

法律だけではカバーしきないことは、自主的に対策する必要があります。
その手法の1つが、リスクアセスメントでしょう。

リスクアセスメントは自主的な安全活動の一貫です。
これをもとにPDCAサイクルを回し、安全な職場を作っていくのです。

やるべきこととその方法は、もう私たちの手の中にあるので、今度はどのように使うかになるのです。

法律や時代は、いつも後追いです。
そして犠牲は先払いです。

先払いの犠牲を減らすのは、私たち自身です。
リスクアセスメントはその1つのツールになります。せっかくツールもあることですから、使わなきゃ損ですよね。

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