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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

女性の安全パトロールで見えてくるもの

      2018/04/25

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甲子園で高校野球は夏の風物詩です。
その甲子園で先日こんな記事がありましたね。

大分の女子マネが甲子園のグラウンドに 大会関係者慌てて制止(デイリースポーツ)

要するに、女性マネージャーが試合前の練習時の手伝いをしていたところ、主催者側からストップがかかったものです。
理由は、大会規定に「危険防止のため、グラウンドに立つのは男子のみ」と規定されているからだそうです。

私の感想は、「別にいいんじゃないの」です。
時代錯誤だなどの意見もあるようですが、その通りだと思います。

とは言うものの、現時点の規定に従った措置をとっているので、対応に問題はないとも思います。
ただ、規定が適切かどうかの見直しを怠っていた、主催者側には問題があるのではないでしょうか。

なお女性マネージャーがベンチ入りが許されたのは、1996年からだそうです。

今回の件は、規定の見直しの契機になるかもしれませんが、高校野球をとりまくものは、旧態依然としているのは間違いなさそうです。

個人的には別に男女の別なく選手として、甲子園の土を踏んでもいいんじゃないのと思いますけど。
男女ペアのシンクロもあるわけですし。

甲子園の件でも、男性だから、女性だからという区別があることを現したわけですが、一方では仕事において徐々に垣根がなくなっていることもあります。

今までは男性だけがやっていた仕事も女性が増えてきました。その逆で女性のみ携わってきた仕事に男性が参画することも増えてきました。
性差があるので、全く同じようにできるわけでもないでしょうが、多くの場合そのハードルは乗り越えられる取り組みがされています。

昔は男性ばかりだったのに、女性が増えてきた業種としては建設業があります。
一昔前は、建設業に関わる女性は事務や営業などで、作業者や技術者はごくわずかでした。

ショベルカーを運転している女性は見ることはありませんでしたが、ここ数年で少しずつ見かけるようになっていました。

これは性差による職業制限を取り払う社会の流れや、女性の技術者などへの心理的抵抗も小さくなってきたことがあるのではと思われます。
また国交省などは、安倍政権の「一億総活躍社会」、「女性の活躍できる社会の実現」といった政策に基づき、女性が建設業に入りやすいようにする施策もおこなっているようです。

もっと女性が活躍できる建設業へ向けた取組について (国道交通省)

この施策を受けて、ゼネコンを中心に様々な取り組みが行われ始めたのでした。
しかし女性参加に際して、建設工事ではどうしても改善しなければならないことがあります。

建設業のイメージというものは、いわゆる3Kです。
3Kとは、「きたない」、「きけん」、「きつい」です。
建設業の作業場は、屋外がほとんどです。
作業場は雑然としています。

常に危険と隣り合わせですし、決して掃除の行き届いた職場環境ではありません。
それが原因なのか、近年は若者は入ってこず、高齢化と人手不足が続いています。

そのような業種ですので、女性が参加するにはハードルが高くなります。

「きつい」はある程度慣れるしかないのですが、「きけん」と「きたない」は、何とか改善努力を行いたいものです。
つまり仕事に慣れた男性作業者だけが使うのではなく、仕事に慣れていない人でも安全で、衛生的な環境つくりがもとめられるのです。

改善はハード面とソフト面の両方で行っていくことが求められます。
ハード面というと、一番は安全で衛生的な設備を整えることです。ソフト面では、4Sや5Sを徹底すること、一緒に仕事しやすい雰囲気作りを行うことです。

index_arrow女性も同行する安全パトロール

元々男性だけの職場のようなものでしたので、急に女性も働きやすい職場にしていこうと言われても、どうしたらいいのか分かりにくいものです。
男性だけでアイデアが出ないのであれば、女性の意見を聞けばいい。
というわけで、最近は女性の安全パトロールも実施されるようになってきました。

国交省が発注した工事でも、女性によるパトロールも実施されているようです。

女性による工事現場安全パトロールを実施(国土交通省東北地方整備局

このパトロールの目的は、「女性の視点によるきめ細やかな点検で、更なる工事 現場の安全性向上と、作業環境の改善に繋げること」というものです。
つまり、女性の目線から危険だったり、不衛生な場所を点検してもらい、改善していく取り組みです。

国交省主催のパトロールでは、津軽ダム工事で、地元企業などから20名の女性が参加し、細かい点までチェックしていったようです。

こういった国の取り組みに応え、大きな建設業でも女性パトロールを実施してきています。
先日、私が行ったパトロールでも、女性が同行されたものがありました。

この時の点検では気付かされることも多くありました。
私を含め、他の人が気づいていなかったこともチェックが入るのです。

一番の指摘ポイントは、「きれい」であることです。
作業中は材料や工具などが散乱しています。私も通路に物が置かれている場合は、片付けるようにと指導しますが、それよりももっと徹底的に片付けを求めていました。
確かに現場に慣れていない人からすると、物が溢れている場所は、危険を感じてしまいます。

またわずかな段差や、出っ張りなども細かくチェックされていました。
そして何より現場事務所や仮設トイレのチェックは細かい指摘がありました。

私などは結構流してしまうことも、事細かに点検されていたので、参考になりました。
その後、別の現場で同じような指摘をしたりしています。

女性に限らずですが、建設業の作業場で抵抗を生むのが仮設トイレです。
花火大会や野外イベントでも見かけますね。

仮設なので当然ですが、水洗ではありません。ウォシュレットもありません。
土に汚れた靴で出入りするので、すぐに汚れます。臭いもあります。
(そういえば、私も現場でうんこはあまりしたくなくて、がまんしてしまいます。)

この時のパトロールでは、仮設トイレもしっかり点検され、きれいにするようにとの指導をされていました。

確かにこれは大事なことです。

建設業に女性の参加を促すためには、まずこのような設備の改善が必要です。
清潔な仮設トイレを設置する。休憩場所も男女別にすることも必要になるかもしれません。
今後は、このような点も評価ポイントになってくるのではないでしょう。

私は女性が幅広い分野で、今以上に活躍するのはよいと思っています。
まだまだ非常に優れた才能を持っている方が、活躍しきれていないのが実情でしょう。
管理職では圧倒的に男性が多いわけですし。
本当に優秀な人が制限を受けてしまうのは、もったいない。

そのためには社会的な制度や支援、また男女ともの意識改革が必要でしょう。
そして、建設業などのような男性が多かった業種にも参加しやすいような取り組みも今後は求められます。

建設現場の女性パトロールは、現場改善に貢献するのではと期待しています。

ところで、都民ではないですが、小池都知事には期待しています。
まだスタートしたばっかりですが、何か変革を起こすのではと期待させてくれる知事だなと思います。

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