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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

今年のトレンドは、フルハーネス型安全帯になるかも(一部ではね)

      2017/03/02

足場などを組むことができない高所作業(2メートル以上)では、安全帯を使用しなければなりません。
(安衛則第518条第2項)

そのため建設現場では、安全帯を持ってこなければ、入場不可というところも少なくありません。
高所作業=安全帯という認識もかなり普及し、着用率は非常に高くなってきていますが、一方で使用率はまあまあという感じでしょうか。
パトロールをしていても、安全帯を着用しているものの、フックは掛けられずという光景を、よく見かけるものです。

使用はともかく、かなりの普及率となってきている安全帯ですが、いくつか種類があります。
最も多く普及しているものが、胴ベルト型、つまり腰に巻くタイプではないでしょうか。

胴ベルトタイプは、腰に巻くタイプです。
ベルトのように環を通したり、ワンタッチで脱着できるものがあります。
胴ベルト型の安全帯に、腰道具を取り付けて使用している様子も目にします。

胴ベルト型以外にも、電柱工事で使用する一本吊り型、斜面などのロープ高所作業で使用する安全帯などもありますが、ここ数年普及してきたのが、ハーネス型、フルハーネス型です。

フルハーネス型安全帯は、ベルトを腰だけでなく、肩や股にも通します。
この安全帯のメリットは、墜落時に衝撃を分散させることによって、ダメージを軽減することにあります。

墜落した時、安全帯に支えられたとしても、体にかかる衝撃は非常に大きくなります。
胴ベルト型だと、墜落時の衝撃が腰一点にかかります。そのため場合によっては、腰骨が折れてしまうこともあります。
せっかく地面の激突は免れ、一命を助かったとしても、骨折して入院。そんなことも珍しくないのが実情なのです。

フルハーネス型は、衝撃を腰一点にかかることはありません。

肩や股(足の付根)などにも分散されます。そのため衝撃によるダメージが軽減するのです。

このようなメリットもあり、欧米では安全帯はフルハーネス型を使用することが義務つけられているのです。

日本では、特に指定はありませんでしたが、ここ数年は労働基準監督署などでフルハーネス型を推奨していました。

フルハーネス型はメリットがあり、推奨もされていました。
高層ビルで作業している作業者では使用率が高いものの、なかなか普及率は伸びませんでした。

なぜか。
デメリットもあるからです。

デメリットとしては、大きく2つではないでしょうか。

1.高い
2.着脱が面倒

この2つが大きな理由のようです。

フルハーネス型の安全帯は、胴ベルト型に比べて高価です。簡単に買い換えるのには、抵抗があるという人も少なくありません。

そして、着脱が面倒というもの。これは感情的な抵抗ですので、意外と厄介です。
フルハーネス型は肩や腰、さらには足を通して付け根部で固定します。

体が締付けられている感じがしますし、トイレに急ぐ時焦ってしまいます。
また常時肩に負荷がかかるので、肩こりになるという意見もあります。

費用と心理的な抵抗が、障壁になっているようです。

メリットはあるものの、普及が進まないフルハーネス型安全帯ですが、昨年大きな動きがありました。

厚労省、安全帯の規制見直し/フルハーネス型基本に/教育は安全帯使用に特化(建設新聞)

記事を簡単にまとめると、昨年(平成28年)11月7日、厚生労働省の「墜落防止用の個人用保護具に関する規制のあり方に関する検討会」で、

「作業床が設置できない高所作業などで労働者が使う安全帯は、フルハーネス型の使用を基本的な方向として議論を深めていくことを確認した。」

というものです。

「17年度にも関係法令などの改正作業を進める可能性がでてきたといえそうだ。」

とあるので、法改正になるか、通達になるかは不明ですが、今後はフルハーネス型安全帯が義務化になる可能性が高くなります。
言い換えると、胴ベルト型の安全帯は禁止となります。

義務化されたら、抵抗感はあっても変更していかなければなりません。
ゼネコンなどの現場では、入場ができなくなる可能性が高くなります。

早ければ年末から来年に方針が決まると思います。
多少の猶予期間はあるかと思いますが、フルハーネス型を使用しなければならないという流れは、変わらないでしょう。

使用期間3年を超え、買い換えるならフルハーネス型にしていくのが無難でしょう。
早めに使用して、慣れていくことが、前向きな対応といえます。

一方で、メーカーには努力して買いやすい価格にしてもらうことも期待したいものです。

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