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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

巡視は現場のリスクコミュニケーション

   

日常的な安全管理のシステムとして、安全施工サイクルというものがあります。

安全施工サイクルとは、朝の朝礼から始まり、夕方の後片付けなど、毎日の仕事なかで、行っていく安全活動のことです。
各プロセスごとにこの時間にはこんなことを行うということが決まっています。
そのため、どのタイミングで何をしたらいいのかという迷わずに、作業に安全行動を組み込んでいけるのです。

代表的な毎日のサイクルは次のようなものではないでしょうか。

午前8時 朝礼
午前8時15分 安全ミーティング(KY)・作業前点検
午前8時30分 作業開始
午前10時前後 所長巡視
午後1時 作業工程打ち合わせ(昼礼)
午後2時前後 所長巡視
午後4時30分 作業完了後片付け
午後5時 終了報告

内容や時間帯などは、作業上によって変わるでしょうが、大体共通しているのではないでしょうか。

安全掲示板にも、これらの内容が描かれていますよね。

安全施工サイクルのメリットは、8時には朝礼をして、その後ミーティングやKYを行うなどが明確なことです。
やるべき内容と時間が決まっていると、それに合わせて仕事をすすめることが出来ます。

各プロセスでは、実施者が異なります。
朝礼は、作業場全体のことですので、工事現場だと統括安全衛生責任者や安全管理者等が行い、工場等であれば所長などが行います。
安全ミーティングなどは、各業者に分かれて実施します。そのため各業者やグループの職長が中心となります。

今回のテーマである所長巡視は、所長つまり元請けの統括安全衛生責任者などが行います。

巡視は1日に1回以上行います。
安全施工サイクルでは、午前と午後に行うスケジュールになっていると思われます。

さて、この所長巡視ですが、ただ見て回ればいいというものではありません。

巡視の目的は何か。
3つあると思います。

1つ目は、朝礼や打ち合わせで通達したことが、実行されているかを確認することです。

例えば、朝礼で「作業の都合上、安全通路の位置を換えて下さい。」と通達をしたとします。
巡視の際に、安全通路の位置変更が実際に行なわれているかをチェックします。

もし未対応だったら、指示ですね。

2つ目は、作業場に軽い緊張感をもたらすことです。

人間の集中力というものは、そんなに持続するものではありません。
長くとも数十分といったものです。

仕事のミスが多い時間帯というデータとして、こんなのがありました。

はたらこねっと

ミスが多い時間帯として最も多いのは、午後(14時から17時)で40%になります。次いで多いのが午前中(9時から12時)の18%でした。

お昼休憩の後の1時間後などからミスが増えるようです。
建設現場などでは、朝8時前後から仕事が開始です。そのため9時は始業後1時間が経過している時間帯ともいえます。

少々強引に解釈しますが、仕事を開始してから1時間くらいは集中力がありますが、それ以降は緩んでくると考えられそうです。

建設業や工場では、仕事のミスは事故につながることも少なくありません。
そのため、これらの時間帯は事故が起こりやすい時間帯ともいえそうです。

少し気の緩んだ時間帯に、緊張感をもたらすのが巡視です。
仕事している様子を他人から注目されると、少なからず身構えてしまいます。

身構えることで、少し緊張感をもたらし、気を引き締める。
巡視にはそんな効果もあるといえるでしょう。

ただし過度の緊張をもたらすようなものはダメです。
至っていない点や是正事項をガミガミと怒ったりすると、作業者はかえって仕事ができなくなります。
結果的に、所長が事故の遠因となるのであれば、本末転倒なのです。

見てるよーと分かってもらいつつ、仕事に支障を与えない。
是正ポイントがあれば、職長を交え、指摘する。

巡視のときの態度というものも、しっかり考えて行う必要があります。

3つ目は、事故の芽を摘んでいくことです。

これが巡視の目的と言えますね。

作業者は作業の当事者です。
目の前の作業に集中していると、不安全な状態や行動が見えづらいものです。
また、何気なくやっているので、不安全行動だとわからなかったなども、よくあることです。

例えば、脚立作業で天板に跨るのもダメだと知らずに作業している、なんてことはよく見かけるのではないでしょうか。
その他にも、ほんの短時間だからと、足場の筋交いを外して作業していた、ということもあるでしょう。

筋交いを外すならば、必要な連絡を行ったり、安全帯を使用して作業するなどが必要になります。
しかし作業に集中していると、そのような対応が後手に回りがちです。

巡視は、作業当事者が行うものではありません。
客観的な視点で現場を見つめることが出来ます。

客観的だからこそ、厳しい目で見ることができるのです。
是正すべきことがあれば、職長などを通じ指示を行いましょう。

是正した事項は、巡視記録に残します。

そしてここが大切なことですが、是正事項がその後、対応されたかどうかについてチェックしたり、報告を受けましょう。
対応についても、記録に残します。

安全パトロールに行った時、書類チェックも行います。
その時に巡視記録も見るのですが、是正指示は書かれていても、その後の確認が書かれていないことが少なくありません。
見方によっては、尻切れトンボな状態に見えます。

改善されていたら「OK」や「○」だけでも構いません。
指示した、是正した、確認したというサイクルを完了させることも、大事です。

安全施工サイクルは日常の安全管理です。
そして、所長巡視は、事故の芽を摘む大切なプロセスです。

現場作業は生き物ですから、日々様々な事故の芽が生まれては消えていきます。

生きた現場を、所長の生きた目でチェックすること。
そんな巡視になっていくと、とても効果的になりますね。

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