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浅草駅近くの工事現場で足場崩れる 男性3人救助(東京都台東区)

   

昨年も東京の六本木で足場に関する大きな事故がありました。
その時の事故は足場解体作業中に材料が落下したというものでした。そして歩行者を巻き込んでしまったというかなり大きな事故でした。

都心では、作業するスペースを十分確保することが困難で、車道や歩道と接して工事を行うことが少なくありません。
そのため、外部足場を組んでも、ネットを隔てた、直ぐ側を歩行者が歩いているということも少なくありません。

都心工事での事故は、第三者を巻き込んだりするなど、大きな被害を出すおそれがあるのです。

東京の浅草で足場が倒壊する事故がありました。
現場は、浅草駅の近くなので、昼間は人通りの多い場所です。しかし深夜作業のため、歩行者は少なかったのではないでしょうか。

今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow 事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

浅草駅近くの工事現場で足場崩れる 男性3人救助 東京 (平成29年2月3日)

3日午前0時5分ごろ、東京都台東区雷門ビルの工事現場で、足場が崩れた。東京消防庁によると、作業員とみられる20代の男性3人が巻き込まれたが、救助された。全員意識はあり、命に別条はないという。ビルは外壁工事中で、地上から約5メートルの高さにあった足場が崩れたという。現場は浅草駅から約400メートルのビル街。

近くに住む女性(20)は「ガシャンという大きな音で外に出たら、足場が崩れていた」。女性によると、工事は数日前から連日、夜間に行われており、崩れた足場付近で作業員らが「動くな」「大丈夫か」と大きな声で呼びかけていたという。「がれきの中から作業員風の人が酸素マスクをつけられて運ばれていた」と話していた。

朝日新聞デジタル

この事故の型は「崩壊・倒壊」で、起因物は「足場」です。

足場はビルの外壁工事のために組まれていました。
事故の写真を見ると、 組まれていた足場はクサビ緊結式のようです。

しかし崩れた箇所は、張出し足場のようにブラケットで保持されているように見えます。さらに作業床は長いスパンなので、出入り口の上に掛ける梁枠だったのではないかと思われます。
また作業床が木材で組まれているようです。また、手すりなどもないため、作業用の足場ではなく、上部からの飛来物防止のためだった可能性もありそうです。

もしくは、木材運搬用のスロープ(登りさん橋)だったかもしれません。いや滑り止めがないから、この可能性はないでしょう。

いくつか可能性はあるのですが、いずれにせよ、崩れ落ち、作業者が巻き込まれました。
この事故で3人の作業者が怪我をしました。
怪我も墜落したのか、崩れた箇所にいて下敷きになったのかの詳細がわかりません。

また深夜だったのが幸いしたのか、歩行者などを巻き込むこともなかったようです。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow 事故原因の推測

事故の原因は、足場が倒壊したことにあります。
倒壊した原因は何だったのかは、記事からは伺うことができません。

そのため、原因はかなりの部分、推測になります。

崩れ落ちたのはおそらく、梁枠の部分です。
木材の床であること、手すりなどが見えないことから、足場として使用する場所ではなかったのかもしれません。

足場が崩れる要因は大きく2つあります。

1.外部から大きな力が加わった

2.構造が弱かった

1の外部からの大きな力とは、上部から重い物が落ちてきたり、強風などを受けたです。

上から大きな資材が落ちて崩れた様子はありません。ただ崩れた箇所が、ただ落下防止の屋根だった場合、ここに作業者が乗ると、過剰な荷重がかかった可能性があります。

2は建地の支柱がなかった、補強材がなかったなど、人が乗って作業する強度がなかったということです。

足場として使用される作業床は、一定の強度が求められます。その強度は、建地や筋交いなどといった構造で保持されます。写真で見たことろ、床の下に梁枠が通っていますが、強度が十分だったかはわかりません。

仮に足場目的の場所でないのに、乗って作業したり移動していたら、問題です。
ミーティングなどで、禁止事項が通達されていなかったり、通達されていても守られていなかった可能性があります。

そもそも立入禁止場所には、表示が必要です。その点は管理方法に問題があるといえます。

また構造は問題なくとも、作業途中で補強材などが取り外されていることが崩壊につながることもあります。
作業前の点検もですが、作業中の監視・監督も行なわなければなりません。

崩れた箇所が足場として使用されており、使用方法にも問題がなかったのであれば、補強材が外れていたなどの構造上の問題がありそうです。
点検で見落としていたか、補強材を外して作業する方法に問題があったのではないでしょうか。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

足場ではない場所で、作業していたこと。
足場の作業前点検ができていなかったこと。
危険箇所の周知やKYができていなかったこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow 対策の検討

まず、足場の使用にあたっては、作業前に点検を行います。
仮に根がらみや手すりなどが外れていたら、復旧してから使用します。
作業中に外す必要がある場合は、元請けに報告、職長などと確認します。

作業前のミーティングでは、立入禁止箇所などの指示事項を確認します。立入禁止以外の場所でも危険箇所があれば、全員が把握できるようにします。この時、KYも実施しなければなりません。

これらは作業時に行うことです。

もし仮に崩れた箇所が足場使用目的でなかったならば、ここに乗って移動や作業をさせてはいけません。
この点も全員がしっかりと理解をしておく必要があります。

対策をまとめてみます。

立入禁止箇所などは表示する。
作業前には危険箇所の周知、点検、KYを行う。
職長は不安全行動や不安全状態に対処する。

実際の事故原因がないので、現場写真からの推測になりました。
足場の倒壊は、余程の強い力が加わるなどしないと、起こりません。おそらく余程のことがあったのではないかと思われます。

都心は作業現場の直ぐ側まで、歩行者がいたりします。
もし昼間に事故が起きていたら、もっと大きな被害になったかもしれません。

第三者を巻き込む可能性がある作業は、細部に渡る注意が必要になることを忘れてはいけません。

index_arrow 違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

【安衛則】

第567条
足場作業を行うときは作業を開始する前に、点検し、異常を認めたときは、直ちに補修しなければならない。

 

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

通路と足場 その6。足場の組立解体と点検

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