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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

安全帯に特別教育が必要になるだと

      2017/07/07

平成27年7月の労働安全衛生法(関連規則)の法改正により、足場の組立解体作業を行うにも、特別教育が必要となりました。これは新たに設けられた特別教育のため、資格取得のために猶予期間として2年間が設けられていました。

この猶予期間は昨月末(平成29年6月30日)で終了となりました。
猶予期間内であれば、仮に特別教育を受けずに作業していても、「早めに受けてね」と指導されるくらいで済みましたが、これからは違反となりますので、注意して下さい。

期限を前に、5月から6月にかけては駆け込み依頼が殺到しました。
私も1~2ヶ月で、200~300人の方に講習をしたと思います。日によっては、3時間講習を午前と午後にやったりもしていました。

受講された方の中には、最近まで足場の特別教育について知らなかったという人も少なくありませんでした。
もしかすると、まだ知らないという方もいるかもしれません。

知らなくとも、違反になります。もしまだ受講されていないのであれば、お早めに!

さて、この教育内では、墜落防止のための設備や保護具についての科目があります。

墜落防止の保護具といえば、何を差し置いても「安全帯」です。
この話をする時、高い確率で会場がザワッとする瞬間があります。

それは以前の記事でも書いたのですが、「おそらく今年度中に、ハーネス型安全帯が義務化になる」という話です。

今年のトレンドは、フルハーネス型安全帯になるかも(一部ではね)

ザワッとするのは歓迎ではなく、「マジかよ」という当惑から来ているのは、言うまでもないでしょう。

高所作業が当たり前となっている鳶さんは、ハーネス型安全帯に慣れているので、使い方に淀みがありません。
しかし、工事現場などにパトロールに行っても、安全帯を積極的な使用を見ることは少ないです。
建築の現場で安全帯も着けずに、壁にとりつき作業している様子は多々見かけます。

現場作業をしている人にとって、ハーネス型安全帯のハードルは、低くはありません。

ハーネス型安全帯のメリットは、墜落時にかかる体への負担を小さくする効果が見込まれます。
そのような理由もあって、欧米では義務化になっています。

日本でも、労働局や監督署を中心に、ここ数年はハーネス型安全帯の使用を呼びかけられていました。
呼びかけはあったものの、普及には至っていないのが現状です。

理由はいくつか考えられます。
例えば、こんな理由です。

1.胴ベルトタイプに対して、ハーネス型は高価だ。
2.着けるの面倒
3.足場などでの作業時に、引っかかりやすい。
4.肩こりになる
5.トイレに行く時、すぐに脱げない

などです。

普及率が上がらない状況が数年続きましたが、昨年末に1つの動きがありました。

厚労省、安全帯の規制見直し/ハーネス型型基本に/教育は安全帯使用に特化(建設新聞)

ハーネス型義務化に向けて、とうとう動き出してしまったのです。

おそらく、今後はより導入しやすい製品なども開発されると思います。
各メーカーの努力に期待したいものです。

さて、このハーネス型安全帯義務化についてですが、こんな話になってきています。

ハーネス型安全帯義務化 特別教育が必要に 6時間程度のカリキュラムで 十分な技能あれば省略可も 厚労省 (労働新聞社・安全スタッフ)

ハーネス型の安全帯義務化の方針はともかく、注目すべきは特別教育です。

ハーネス型安全帯の使用が、特別教育の対象になるとのことです。しかも6時間。

ただでさえ胴ベルトからハーネス型への変更の話でザワッとするのに、これは一層のザワッと生み出してしまいそうなものです。

これは足場やロープ高所作業とは違うのかなどと考えたのですが、詳しい内容を「安全スタッフNO.2285(7/1)」の記事で見てみると、別物のようです

対象となるのは、安衛則第518条第2項に適用される作業のようです。

第518条
事業者は、高さが2メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を
除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に
危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法に
より作業床を設けなければならない。

2 事業者は、前項の規定により作業床を設けることが
  困難なときは、防網を張り、労働者に安全帯を
  使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための
  措置を講じなければならない。

2メートル以上の高所で、作業床が設けることが困難な場所での作業となります。
具体的には、建築現場で梁や鉄骨の上、吊り足場を設置する作業などでしょうか。

このような作業は、主に鳶の方がされると思うのですが、ハーネス型安全帯は高そうです。

特別教育のカリキュラム案は、次のものが検討されています。
・作業に関する知識(1時間)
・フルハーネス型墜落防止用保護具に関する知識(1時間)
・フルハーネス型墜落防止用保護具等に使用方法に関する知識(1時間)
・労働災害の防止に関する知識(1時間)
・関係法令(0.5時間)
・フルハーネス型墜落防止用保護具等の使用方法 実技(1.5時間)

学科4.5時間、実技1.5時間の計6時間です。

6時間は、長いです。

ただ、足場の特別教育でも、経験者は短縮講習がありました。
ハーネス型安全帯の特別教育も、十分に技能があれば省略可とする方針のようです。

おそらく、来年には私もこの特別教育を携わる可能性が高いのです。
足場で安全帯について触れるのは、長くても20分程度なのですけども、6時間も何をするのやらです。

またハーネス型が義務化になっても、一定の条件に適合する胴ベルト型は認めるなども検討されるようですが、詳細は今後の情報待ちですね。

ハーネス型安全帯の義務化については、今年度中には何らかの通達やガイドラインが出てくると思われます。
特別教育については、対象者がどの範囲までになるかなども、その中で明らかになるでしょう。

労災死亡者の4人に1人が墜落災害によるものです。
ハーネス型安全帯などは、その減少を目指してのものです。

ハーネス型安全帯を使用すると、腰道具を着けることが難しくなるかもしれません。
そのような点においても、今後の仕事の仕方も見直すことが必要になる機会になりそうです。

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