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「『いってきます』といった人は『ただいま』と言う義務がある。労働安全コンサルタント角田淳による、安全衛生で使えるアイデアや教育ツールのご紹介

安全に車両系建設機械を使用するための措置 その2

      2015/05/30

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車両系建設機械の規定について、続きです。

前回は、機械の仕様や構造、作業前の計画などが中心でした。
今回は、実際に作業するにあたっての、規定が多くなります。

【安衛則】

(接触の防止)
第158条
事業者は、車両系建設機械を用いて作業を行なうときは、運転中の
車両系建設機械に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれの
ある箇所に、労働者を立ち入らせてはならない。ただし、誘導者を配置し、
その者に当該車両系建設機械を誘導させるときは、この限りでない。

2 前項の車両系建設機械の運転者は、同項ただし書の誘導者が
  行なう誘導に従わなければならない。
(合図)
第159条
事業者は、車両系建設機械の運転について誘導者を置くときは、
一定の合図を定め、誘導者に当該合図を行なわせなければならない。

2 前項の車両系建設機械の運転者は、同項の合図に
  従わなければならない。
(運転位置から離れる場合の措置)
第160条
事業者は、車両系建設機械の運転者が運転位置から離れるときは、
当該運転者に次の措置を講じさせなければならない。

  1)バケット、ジッパー等の作業装置を地上に下ろすこと。

  2)原動機を止め、及び走行ブレーキをかける等の
   車両系建設機械の逸走を防止する措置を講ずること。

2 前項の運転者は、車両系建設機械の運転位置から離れるときは、
  同項各号に掲げる措置を講じなければならない。
(車両系建設機械の移送)
第161条
事業者は、車両系建設機械を移送するため自走又はけん引により
貨物自動車に積卸しを行う場合において、道板、盛土等を
使用するときは、当該車両系建設機械の転倒、転落等による危険を
防止するため、次に定めるところによらなければならない。

  1)積卸しは、平たんで堅固な場所において行なうこと。

  2)道板を使用するときは、十分な長さ、幅及び強度を
   有する道板を用い、適当なこう配で確実に取り付けること。

  3)盛土、仮設台等を使用するときは、十分な幅及び
   強度並びに適度な勾配を確保すること。
(とう乗の制限)
第162条
事業者は、車両系建設機械を用いて作業を行なうときは、
乗車席以外の箇所に労働者を乗せてはならない。
(使用の制限)
第163条
事業者は、車両系建設機械を用いて作業を行うときは、
転倒及びブーム、アーム等の作業装置の破壊による労働者の危険を
防止するため、当該車両系建設機械についてその構造上定められた
安定度、最大使用荷重等を守らなければならない。


作業を行う上での注意点ですね。

機械運転時に、周辺で作業を行っている作業者が接触しないようにしなければなりません。
接触させないために、最初に行わなければならないものは、機械の作業範囲の立入りを禁止することですね。
近づかなければ、当たりません。これが一番確実です。

しかし、作業の時には、そうも言ってられないも確かです。
どうしても近づいて作業しなければならないことがあります。

その場合は、誘導者を配置し、その誘導者の指示にし従って、近接作業を行うことになります。
誘導者は、機械の動きや周辺の作業者の動きをよく把握し、どちらにも適確な指示を出さなければならないので、責任重大なのです。
機械の運転者も作業員も、必ず誘導者の指示には従いましょう。

誘導者は、作業者の接触防止のためのだけでなく、機械の運転のためにも配置されることがあります。
これは、崖や掘削している溝の近くなど転落する恐れがあったり、運転席から状況が見えづらい場所を走行するときなどです。

崖の近くを走っていて、滑り落ちたら、大きな事故になってしまいます。

そのような場合等、必要に応じてですが、誘導者を配置し、機械の誘導させます。
誘導者を配置するにあたっては、合図を決めて、お互い確認しておかなければなりませんね。


誘導者の合図を、運転者が理解できなければ、合図の意味がありません。

さて、機械を停めて、運転者が席を離れる場合にも注意が必要です。
一番の危険は、不意に機械が動いてしまうこと。ショベルカーなどであれば、アームが急に落下してしまうことなどがあります。
運転手がいないからと油断をしていると、不意な動きに対応できなくなります。

そのため席を離れる場合には、停車する措置を作らなければなりません。
停止する措置とは、逸走防止、つまり不意に動き出すのを防ぐための対策です。
停車体勢は、次のとおりです。

1.バケット、ジッパー等の作業装置は地上に下ろす。
2.エンジンを停止する、走行ブレーキをかける等、動き出さないようにする。


とにかく動かない、落ちてこない状態にしてから、席を離れなければならないのです。

フォークリフト等車両系運搬機械も同様の状態にして、席を離れるとありますが、条文での表現が若干違うところがあります。
「原動機を停止し、及び走行ブレーキをかける等」の箇所が、車両系運搬機械では、「原動機を停止し、かつ、走行ブレーキをかける等」とあります。
どちらも、エンジンを停めるのと、走行ブレーキをかけるなどを、合わせて行わなければなりません。
「及び」も「かつ」も「AND」で、前後の文どちらも必要ですということです。
接続詞が異なりますが、どちらも必要な措置だということですね。

ある会社では、鍵と運転士のベルトをヒモでつなぐ工夫をされていました。
運転士が席を離れる場合は、エンジンを切り、鍵を抜かなければならないようにしていたのです。
これも不意に動いてしまうことを防ぐ、安全対策ですね。

次は、移送についてです。
移送とは、現場まで機械を運ぶことです。
車両系建設機械とはいえ、足元がタイヤでなかったり、ナンバープレートがなければ、公道を走ることはできません。
どのように運ぶのかというと、トレーラーなどに載せて運ぶのです。

現場まで機械を運んで、下ろすときの注意です。
当然ですが、トレーラーの荷台は、地面よりも高い位置にあり、段差になっています。
この段差を解消するために、板を敷いたり、場合によっては、盛り土をしたりします。
しかし、この機械の下ろしたり、あるいは載せたりするときは、バランスを崩しやすく、転倒しやすいのです。

そのため、次のような転倒防止策をとらなければならなりません。

1.積卸しは、平たんで堅固な場所において行なう。

2.道板を使用するときは、十分な長さ、幅及び強度のものを使い、適当なこう配で確実に取り付ける。。

3.盛土、仮設台等を使用するときは、十分な幅及び強度並びに適度な勾配を確保する。


安定した状態で、作業しなければならないということですね。

これも、作業時の注意点ですが、機械は運転席以外に乗ってはいけません。
バケットに人を入れて、移動させてはいけません。
アーム部に人を載せて、持ち上げてもいけません。
また、本体部はアームと掘削した土などとバランスをとるため、大きく作られています。この部分をカウンターウェイトと言うのですが、この場所に乗ることもダメです。
運転席以外には乗らない、乗らせないことようにしなければなりません。

また、機械の能力を超えた使い方をしてはいけないというのは当然ですね。
次条の用途外の使い方にも関係してくるのですが、アームの許容を超えたものを持ち上げようとすると、転倒またはアームが折れることもあります。

全ての機械は、定めれられた能力があります。
その能力を超えて使用すると、多大なリスクが生じてしまいます。
ちょっとくらいならというので、事故になった事例は、枚挙に暇ありません。
それほど頻繁に行われ、事故に至っているのです。

機械を取り替えるのはコストも、時間も、手間もかかります。
しかし、安全に作業を行うのは、機械の能力を守ることが非常に重要なのです。

さて、次の第174条は、用途外、つまり本来の使い方以外の使用についてです。
これについては、改めてまとめたいと思いますので、割愛します。

次は、作業そのものではなく、修理やアタッチメントの取付についてです。

(修理等)
第165条
事業者は、車両系建設機械の修理又はアタッチメントの装着
若しくは取り外しの作業を行うときは、当該作業を指揮する者を定め、
その者に次の措置を講じさせなければならない。

  1)作業手順を決定し、作業を指揮すること。

  2)次条第1項に規定する安全支柱、安全ブロック等及び
   第166条の2第1項に規定する架台の使用状況を監視すること。
(ブーム等の降下による危険の防止)
第166条
事業者は、車両系建設機械のブーム、アーム等を上げ、
その下で修理、点検等の作業を行うときは、ブーム、アーム等が
不意に降下することによる労働者の危険を防止するため、
当該作業に従事する労働者に安全支柱、安全ブロック等を
使用させなければならない。

2 前項の作業に従事する労働者は、同項の安全支柱、
  安全ブロック等を使用しなければならない。
(アタッチメントの倒壊等による危険の防止)
第166条の2
事業者は、車両系建設機械のアタッチメントの装着又は
取り外しの作業を行うときはアタッチメントが倒壊すること等に
よる労働者の危険を防止するため、当該作業に従事する労働者に
架台を使用させなければならない。

2 前項の作業に従事する労働者は、同項の架台を
  使用しなければならない。
(アタッチメントの装着の制限)
第166条の3
事業者は、車両系建設機械にその構造上定められた重量を
超えるアタッチメントを装着してはならない。
(アタッチメントの重量の表示等)
第166条の4
事業者は、車両系建設機械のアタッチメントを取り替えたときは、
運転者の見やすい位置にアタッチメントの重量(バケット、
ジッパー等を装着したときは、当該バケット、ジッパー等の容量
又は最大積載重量を含む。以下この条において同じ。)を表示し、
又は当該車両系建設機械に運転者がアタッチメントの重量を容易に
確認できる書面を備え付けなければならない。


車両系建設機械を現場まで運ぶ際、大きいものであれば部品ごとに運び、現場で組み立てたりします。
また、分解せずそのまま運ぶ場合でも、故障すれば現場で修理しますし、違う用途で使う場合には、用途に合ったアタッチメントに取り替えたりします。
そのような現場で、機械に手を加える場合の措置ですね。

ちなみにアタッチメントとは、ショベルカーを例にあげると、次のようなものです。

通常は、掘削用の爪つきバケット。
アタッチメント変更で、コンクリート破壊用に振動する一本爪、つまりブレーカーにする。

こういったことが、割りと頻繁に行われます。
用途ごとに機械全体を揃えるのは大変ですから、アームの先だけ替えて、幅広い用途に対応できるようにしているのです。

いわば掃除機の吸口を、幅広のもので床全体を掃除し、細長いノズルをつけて、タンスの裏などを掃除するというような感じです。

修理やアタッチメントを替える場合には、作業手順をあらかじめ決めておき、指揮者を選び、指揮者の指揮のもと作業を行います。
機械の一部とはいえ、重いものを扱うのですから、てんでバラバラに作業するのは危険なのです。

また状況によってはアームなどを上げた状態で、作業することもあります。
上げたままのアームが作業中に、前触れなく降りてきたら危ないですよね。
それを防ぐために、安全ブロックや支柱をつけ、落下を防止しなければなりません。


これも作業計画に盛り込み、指揮者は指揮しなければならないことなのです。

アタッチメントを取り替えるに当たっての注意です。

装着作業時に、転倒したりしないように、架台などを使って作業しなければなりません。
アタッチメント1つでも数百キロになります。
そんなものの下敷きになると、どうなるか、想像ができますね。

当然ですが、機体の能力を超えたアタッチメントをつけてはいけません。
まともに動かないだけでなく、バランスを崩し倒れてしまいます。

普通乗用車に、トラックのタイヤをつけることなどできませんよね。
能力を超えたアタッチメント装着は、それと同じようなことと言えます。

取り替えたアタッチメントがどれほどの重量や容量なのかを、運転士は把握しておかないと、作業時に支障が出ます。
バケットでは、どれほどの土を入れられるかは非常に重要です。
アタッチメントの情報が曖昧だと、作業効率が悪くなるだけでなく、バランスを崩して転倒するなどの危険があります。
そのためにも運転士がアタッチメントの重量などを把握できるようにしなければならないのです。

車両系建設機械は、非常に種類が多く、用途も幅広いです。
それぞれの種類について、管理する点や注意しなければならない点があります。

その全てを条文に載せることは、不可能です。

そのため、ここに記載されている条文は、共通する事項で、必要最低限の規定になります。

実際の現場では、条文では網羅できない危険箇所などもあります。
それを見出し、安全に作業を進めるのが、元方事業者や特定注文者などの事業者であり、現場を管理する監督員などです。

今やどの作業も機械なくしては、できません。
これは現場の人ほど、実感されているはずです。

もしそういった現場作業の経験はなくとも、水害などの災害復旧ボランティアに行った経験があるなら、想像できるかもしれません。
数人がショベルを使って、数時間かけて取り除いた泥は、ショベルカーを使うと30分もあれば全てさらえてしまう。
それほどの能力差なのです。

それだけの力があるのですから、人と接触した時のエネルギーは計り知れません。
容易に吹き飛び、容易に骨を砕きます。

建設業が危険というのは、このイメージもあるのかもしれません。
実際に機械周辺の仕事は、危険がいっぱいです。

危険はいっぱいです。
しかし、その対策も進化しているのも確かです。

どの事業者も、現場での安全については、非常に力を入れています。
それは発注者からのプレッシャーもあるでしょうけど、自発的に事故を起こさないようにしています。

危険なことは、作業者が一番分かっています。
それでも、慣れが危機意識を薄れさせてしまうのです。

危機意識を薄れさせず、常に意識させること。
なるべく危険がないような作業方法を採用すること。
さらには、安全に作業ができるアイデアを日々考案しています。

それに忘れてはいけないのが、機械の進化です。
メーカーのたゆまぬ努力は、性能だけでなく安全性も飛躍的に進化させています。

事故をなくすために残るのは、人の行動です。
この行動は安全意識の問題かもしれません。

そのために日々、安全作業の意味と、それによって何がもたらされるのかは伝え続けなければならないのでしょう。

まとめ。

【安衛則】

第158条
車両系建設機械に労働者が接触しないよう措置をとらなければならない。
第159条
車両系建設機械の運転について誘導者を置くときは、一定の合図を定め、誘導者に合図を行なわせなければならない。
第160条
車両系建設機械の運転者が運転位置から離れるときは、運転者に必要な措置を講じさせなければならない。
第161条
車両系建設機械を移送するために貨物自動車に積卸しを行う場合は転倒防止のための措置をとらなければばならない。
第162条
車両系建設機械を用いて作業を行なうときは、乗車席以外の箇所に労働者を乗せてはならない。
第163条
車両系建設機械を用いて作業を行うときは、構造上定められた安定度、最大使用荷重等を守らなければならない。
第165条
車両系建設機械の修理又はアタッチメントの脱着の作業を行う場合は、指揮者を定め、その者に必要な措置をとらせなければならない。
第166条
車両系建設機械のブーム等の下で修理、点検等の作業を行うときは、ブーム等が降下することによる労働者の危険を防止のための安全ブロック等を使用させなければならない。
第166条の2
車両系建設機械のアタッチメントの脱着等の作業時には、架台を使用させなければならない。
第166条の3
車両系建設機械にその構造上定められた重量を超えるアタッチメントを装着してはならない。
第166条の4
車両系建設機械のアタッチメントを取り替えたときは、運転者がアタッチメントの重量を容易に 確認できる書面を備え付けなければならない。

 

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