安全衛生教育

化学物質管理者専門的講習 2024年4月の義務化に備えよう

chemical management

化学物質管理者専門的講習  2024年4月の義務化に備えよう

リスクアセスメント対象物質を製造、譲渡、取り扱い事業場において、化学物質管理 の選任は2024(令和6)年4月1日から義務化されます。
「化学物質」と聞くと、化学を取扱う事業所以外では、難しく感じ、身構えてしまうかもしれません。しかし化学物質管理者の選任は、業種や規模を問わず義務になっています。
企業としては、義務化の前に準備を進めなければなりません。
化学物質管理者とは何か?選任されるための講習について解説していきます。
安全教育センターでも化学物質管理者を実施してきます。
受講を検討されている方は、実施スケジュールをご確認ください。
目次
  1. 化学物質管理者が必要とされる背景
    1. 法遵守から自律的管理へ
    2. 化学物質管理者の選任義務化
  2. 化学物質管理者の役割
    1.  選任要件
    2. リスクアセスメントなどの職務内容
    3. 保護具着用管理者との関係
  3. 化学物質管理者講習について
    1. 講習内容・カリキュラム
    2. 免除規定
    3. テキスト
    4. 修了試験は?
    5. 実習でやること
  4. 安全教育センターでの化学物質管理者講習
    1. 受講料
    2. 免除規定
    3. 実施スケジュール
    4. 修了証について

1 化学物質管理者が必要とされる背景

1.1 法遵守から自律的管理へ

化学物質の種類は、現在7万とも8万ともいわれています。
そして毎年約1000件の新物質が申請されています。
数万種類ある化学物質に対し、有害性がはっきりと分かり、規制されている物質はごくわずかです。
化学物質全体からすると氷山の一角にしか過ぎません。
当然のことながら、規制されていない物質は無害ではありません。ただ有害性が不明なだけです。
事実、規制されていない物質によって健康障害が発生した事例が過去に発生しています。
印刷会社での洗浄剤による胆管がん問題などが最たる例です。
これは当時未規制だった「1,2-ジクロロプロパン」によって引き起こされました。
この問題が発覚してから、厚生労働省もすぐさま対応しました。
化学物質の規制は、このように問題発覚後、対応となるケースも多いのです。
このような状況もふまえ、これからの化学物質のあり方が検討されてきました。
そして2022年5月31日の法改正により、今後の化学物質の管理方針は、自律的管理に移行することが示されました。
自律的管理とは、国の規制だけに任せきりにせず、事業者も化学物質管理について積極的に関わっていくことが求められます。
事業者はその管理を、化学物質管理者を選任して担当させなければならないのです。

1.2 化学物質管理者の選任義務化

選任対象となるのはリスクアセスメント対象物質(=SDS通知対象物質)を製造、譲渡、取り扱う事業場です。事業所単位で、化学物質管理者を選任しなければなりません。
事業所とは、本社、支社、営業所ごとに選任となります。選任は業種や規模を問わず必要になります。ただし一般消費者の生活用製品のみを扱う事業場は対象外になります。
大規模工場などでは、必要に応じて、2人以上選任することも可能です。
建設現場でも選任が必要なのかとの質問を受けますが、建設現場は出張所扱いになるため、不要です。
業務に支障がなければ、他の職務との兼任も可能です。

2 化学物質管理者の役割

2.1 選任要件

化学物質管理者の選任要件は、次のように定められています。
「化学物質の管理に関わる業務を適切に実施できる能力を有する者」
選任要件は、リスクアセスメント対象物質を製造する事業場とそれ以外では異なります。
リスクアセスメント対象物質製造事業場
専門的講習の修了者
※上記と同等以上の能力を有するもの
上記以外
資格要件なし
専門的講習等の受講を推奨
※の「同等以上の能力を有するもの」とは、次の通りです。
・告示施行前の専門的講習の修了者
・労働衛生コンサルタント(試験区分が労働衛生工学であるもの)
・専門家告示(安衛則等)及び専門家告示(粉じん則)で規定する化学物質管理専門
基本的にはリスクアセスメント対象物質製造事業場で、化学物質管理者になるためには、専門的講習を修了することが確実です。
リスクアセスメント対象物質を譲渡や取り扱う事業場でも、化学物質管理者の選任は義務です。
この場合でも、適切に管理するためには知識が必要なことは間違いありません。
そのため専門的講習を修了することを強くお勧めします。
上記の胆管がんの問題が発生したのは、取扱事業場です。問題が発生してからでは遅いのです。
専門的講習については、3.3カリキュラムで詳しく紹介しますが、2日間(12時間)講習と、1日(6時間)講習があります。
リスクアセスメント対象物質の製造事業場対象が2日間で、それ以外の事業場では1日のみとなっています。

2.2 リスクアセスメントなどの職務内容

化学物質管理者の職務は次のことになります。
  1.  ラベル・SDS等の確認
  2.  化学物質に関わるリスクアセスメントの実施管理
  3.  リスクアセスメント結果に基づくばく露防止措置の選択、実施の管理
  4.  化学物質の自律的な管理に関わる各種記録の作成・保存
  5.  化学物質の自律的な管理に関わる労働者への周知、教育
  6.  ラベル・SDSの作成(リスクアセスメント対象物質製造事業場の場合)
  7.  リスクアセスメント対象物による労働災害が発生した場合の対応
いずれの項目においても、リスクアセスメント対象物に対する対策を適切に進める上で必要不可欠な職務の「管理」です。
必ずしも化学物質管理者自らがラベル・SDSの作成や安全教育等を実施することまでは求められていません。適切に運用されているかをチェックすることが仕事です。
化学物質のリスクアセスメントが、安全性のリスクアセスメントと大きく異なる点は、「ばく露量」の推測です。また化学物質の有害性についての知識も必要です。
非常に専門性が高い内容となるため、化学物質についての専門知識が欠かせないことはご理解いただけるでしょう。

2.3 保護具着用管理者との関係

今回の法令改正では、化学物質管理者の選任とともに、保護具着用管理者の選任についても義務化されました。
保護具着用管理者も、リスクアセスメント対象物質の製造、譲渡、取扱い事業場は、業種や規模を問わず選任しなければなりません。
業務に支障がなければ、他の職務との兼任も可能です。化学物質管理者と兼任ということも可能です。
こちらも、必要な知識を学ぶ講習があります。
保護具着用管理者講習は別のお話。また別の機会に書きましょう。

3 化学物質管理者講習について

安全教育センターにおいても、仙台にて化学物質管理者専門的講習を実施していきます。

3.1 講習内容・カリキュラム

専門的講習のカリキュラムは次のように定められています。
〇リスクアセスメント対象物質製造事業場向け(2日間・12時間)
科 目
時間
講 義
化学物質の危険性及び有害性並び に表示等
2.5時間
化学物質の危険性又は有害性等の 調査
3時間
化学物質の危険性又は有害性等の 調査の結果に基づく措置等その他 必要な記録等
2.5時間
化学物質を原因とする災害発生時 の対応
0.5時間
関係法令
1時間
実習
化学物質の危険性又は有害性等の 調査及びその結果に基づく措置等
3時間
〇上記以外の事業場向け(1日間・6時間)
科 目
時間
講 義
化学物質の危険性及び有害性並びに表示等
1.5時間
化学物質の危険性又は有害性等の調査
2時間
化学物質の危険性又は有害性等の 調査の結果に基づく措置等その他 必要な記録等
1.5時間
化学物質を原因とする災害発生時 の対応
0.5時間
関係法令
0.5時間

3.2 免除規定

本講習では、所有資格に応じて科目免除があります。
第1種衛生管理者
  • 化学物質の危険性及び有害性等の調査
衛生工学衛生管理者
  • 化学物質の危険性及び有害性等の調査
  • 化学物質の危険性又は有害性等の 調査の結果に基づく措置等その他 必要な記録等
  • 特定化学物質・四アルキル鉛作業主任者
  • 鉛作業主任者
  • 有機溶剤作業主任者
上記全てを修了している者
  • 化学物質の危険性及び有害性並びに表示等
作業主任者については、3つ全て所有が条件ですので、注意してください。
実際の講習スケジュールによるでしょうが、免除対象の資格を所有していると、かなりの短縮になります。
特に衛生工学衛生管理者資格をお持ちであれば、2日間の講習が1日にまで短縮されます。

3.3 テキスト

厚生労働省が標準テキストを出しています。2022年12月に暫定版がリリースされ、2023年3月に正式版がリリースされました。
※ページ下方にテキストへのリンクがあります。
なお、現在は中災防でもテキストが発売されました。
こちらの内容は、標準テキストに準拠したものではなく、中災防で実施している講習資料をベースと思われます。
化学物質のリスクアセスメントもCREATE-SIMPLEに加えJISHA方式の評価方法も紹介しているのが特徴です。

3.4 修了試験は?

修了試験はありません。全課程を受講すると修了証の発行となります。

3.5 実習でやること

2日間講習では、実習が含まれています。(1日コースにはありません)
実習では、主に化学物質のリスクアセスメントを行います。
具体的には、CREATE-SIMPLEを使って、実際にばく露を推測するなどです。
リスクアセスメントに加えて作業場で重要になることは、保護具の使用などになるため、保護具の取り扱いなども実習として行われます。
安全教育センターでは、リスクアセスメントに加え、マスクフィットテストで使用する機材を用いて保護具の着用の実習も行います。

4 安全教育センターでの化学物質管理者講習

4.1 受講料

2日間コース 免除なし 38,500円
免除あり 31,900円
1日間コース 25,300円
複数の免除があっても受講料は「免除あり」となりますので、ご注意ください。
1日間コースは全てのコース受講となります。

4.2 安全教育センターのカリキュラム案

1日目
時間
科目
所要時間
免除
9:30-10:30
学科
関係法令
1時間
10:30-10:40
休憩
10:40-11:40
学科
化学物質の危険性及び 有害性並びに表示等
化学物質の危険性及び有害性
化学物質による健康障害の病理及び症状
化学物質の危険性又は有害性等の表示、文書及び通知
1時間
作業主任者
11:40-12:40
昼食・休憩
12:40-14:10
学科
化学物質の危険性及び 有害性並びに表示等
化学物質の危険性及び有害性
化学物質による健康障害の病理及び症状
化学物質の危険性又は有害性等の表示、文書及び通知
1.5時間
作業主任者
14:10-14:20
休憩
14:20-15:50
学科
化学物質の危険性又は 有害性等の調査
化学物質の危険性又は有害性等の調査の時期及び 方法並びにその結果の記録
1.5時間
第一種衛生管理者
衛生工学衛生管理者
15:50-16:00
休憩
16:00-17:30
学科
化学物質の危険性又は 有害性等の調査
化学物質の危険性又は有害性等の調査の時期及び 方法並びにその結果の記録
1.5時間
第一種衛生管理者
衛生工学衛生管理者
2日目
時間
科目
所要時間
免除
9:30-10:30
学科
化学物質の危険性又は有害性等の調査の結果に基づく措置等その他必要な記録等
化学物質のばく露の濃度の基準
化学物質の濃度の測定方法
化学物質の危険性又は有害性等の調査の結果に基づく労働者の危険又は健康障害を防止するための措置等及び当該措置等の記録
がん原性物質等の製造等業務従事者の記録
保護具の種類、性能、使用方法及び管理
労働者に対する化学物質管理に必要な教育の方法
1時間
衛生工学衛生管理者
10:30-10:40
休憩
10:40-11:40
学科
化学物質の危険性又は有害性等の調査の結果に基づく措置等その他必要な記録等
化学物質のばく露の濃度の基準
化学物質の濃度の測定方法
化学物質の危険性又は有害性等の調査の結果に基づく労働者の危険又は健康障害を防止するための措置等及び当該措置等の記録
がん原性物質等の製造等業務従事者の記録
保護具の種類、性能、使用方法及び管理
労働者に対する化学物質管理に必要な教育の方法
1時間
衛生工学衛生管理者
11:40-12:10
学科
化学物質を原因とする 災害発生時の対応
災害発生時の措置
0.5時間
12:10-13:10
昼食・休憩
13:10-14:40
実習
化学物質の危険性又は有害性等の調査及び その結果に基づく措置等
化学物質の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づく労働者の危険
又は健康障害を防止するための措置並びに当該調査の結果及び措置の記録
保護具の選択及び使用
1.5時間
14:40-14:50
休憩
14:50-16:20
実習
化学物質の危険性又は有害性等の調査及び その結果に基づく措置等
化学物質の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づく労働者の危険
又は健康障害を防止するための措置並びに当該調査の結果及び措置の記録
保護具の選択及び使用
1.5時間
16:20-16:30
閉会のあいさつ・修了証の交付
1日コースは後日追記します。大きな違いとしては、実習がない点です。

4.3 スケジュール予定

 安全教育センターでの化学物質管理者の講習予定などはこちらをご覧ください。

4.4 修了証

全ての課程を修了された方には、プラスティック製の修了証カードをお渡しします。

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